ダンボールカッター「ミドリ」

 商品が届いたことに対する喜びと興奮から強引に段ボールを開けようとして、その手が滑り壁に肘を打ちつけたり、テープが爪の間に入ってしまって苦悶したりする経験が多い人生だった。しかし、それは私の「若気」であると自己消化して過ごしてきた。しかし、私もいい年になる。そんな折にこの商品を知った。
 一切の無駄のない円形のフォルムは滑らかなプラスチックで覆われ、側面の滑り止め用の凹凸と、ストラップ穴以外には何もない。蓋はちょうど180°開く。
 特筆すべきは、これだけ小さくシンプルな製品にもかかわらず、蓋の角度が90°以下になると閉じる方向に力がかかるギミックが隠されていることだ。安全面を考慮してのことなのであろうが、恐れ入る。また、セラミック製の刃は最小限の長さで、触ってみても人間の皮膚を傷つけづらい構造に感じた。カッターやはさみと比べると安全性を見れば雲泥の差がある。
 この商品は「なくてはならない製品」ではない、代用はいくらでもある。しかし、工業製品としての完成度の高さが私の所有欲を満たす。銀のスプーンで食事をする感覚(私は経験はない)に似ている。また、安全性の高さから、特に小さなお子様のいるご家庭にもお勧めしたい。その際には、冷蔵庫、ドアの高いところに内蔵の磁石で付けておくとよいだろう。